MEET THE CREATIVES
クイアであることに誇りを持ち、アーティストとして活躍するBjörk Hijoort(ビョーク・ヒョールト)。「香り」や「人との出会い」に着想を得たアート作品で知られる。
ヘルシンキを拠点にビジュアルアーティストとして活躍するBjörk Hijoort。固定概念にとらわれることなく、アートに対する情熱を表現した作品を制作。
「目立つ場所、高い壁面、大きなウィンドウであるほど制作意欲が湧きます。」
スウェーデンとギリシャをルーツに持つBjörk。絵筆を用いて描くカラフルな作品によく登場するのは、女の子や動物、植物といったモチーフや、おとぎ話のワンシーン。
先日開催されたヘルシンキ プライド ウィークを記念して、Björkはマリメッコ アレクシンクルマ店のショーウィンドウをキャンバスに大きなアート作品を制作。
「アート作品はアートギャラリーや私邸の中に閉じ込めるのではなく、道行く人全員に見て楽しんで欲しい。アートはみんなのもの。アートとは頭で理解するものではなく、直観的に楽しめるもの。楽しむことを前提とした作品でなくとも、感情を揺さぶる存在ではあるはず。」 - Björk Hijoort
Björk作品のインスピレーションとなるのは、例えば朝の地下鉄でふと漂ってくるコーヒーの香りのように、スイッチが切り替わるきっかけとなるもの。香りがきっかけとなって、身近なシチュエーション、ストーリー、疑問に思っていたことなどを思い出すことも多いはず。Björkは、アート制作に着手する際、自分自身の内面について深く考えたり、精神性を象徴するモチーフを描く、あるいは題材としたものの歴史を深掘りすることも。そのプロセスを経て生まれたBjörk作品には、アイデアや議論といった情報が詰まっています。
「私の作品は、ZIPファイルに似ているかも。たくさんの情報が圧縮された状態で詰まっています。(笑)」
Queerness as a strength
クイアのアーティストだからこそ、Björkは遊び心のあるアートを展開できるのかもしれない。彼女はアートを通して、居場所を確保し、自分自身を表現し、声を上げて問題提議することができるのです。
彼女はクイア コミュニティーを「自分のアイデンティティを確立することができ、ありのままの姿で素直な思いを表現することができる安全な場所」であると語ります。
「クリエイティブに考えると、クイアの視点で考えられるからこそ、より良い自分になれるのだと思います。クイアとは自ら選択してなるものではないと思いますが、仮にそうであったとしても、私はクイアであることを選びます。このように考えられる私はラッキーだと思います。」
2022年ヘルシンキ プライドのテーマは「人との出会い」。Björkがアート作品を描いたマリメッコのウィンドウにもそのコンセプトが反映されています。
作品はマリメッコ アレクシンクルマ店のウィンドウに2週間に渡り展示されました。「出会い」に加え、作品ではジェンダー表現や性的思考についてもテーマとして取り上げました。
作品の構想段階において、Björkが着想源としたのは「人との出会い」の美しさ。
「人との出会いは、私たち自身の基盤を形成しているのだと思います。人との出会いは、鏡にも似ています。誰かと出会うことを通して、自分自身を見つめることができるのです。」
Björkは、取り上げた題材を自身のアート作品に融合させ、それを川の流れのように描きました。出来上がったのは、見る角度によって変化がある作品。作品が意味するのは、誰もが様々なアイデンティティを持っているように、アート作品も見る人や角度によって個性豊かに、様々な見え方をするということ。
「私たちは皆、それぞれの異なる個性がある。それは誰もに言えること。」
ヘルシンキ プライド ウィークは6月27日-7月3日に開催されました。